20、30代は、6割が残業の多さをきっかけに転職を検討--「doda」調べ

 パーソルキャリアは2月13日、同社が運営する転職サービス「doda」において、「残業」をテーマとした調査を実施。その結果を公表した。

 調査期間は、2023年12月28日〜2024年1月5日。対象は、全国の従業員規模10名以上の企業で働く20〜60歳代の会社員(正社員・契約社員)男女1000名(性年代均等割付)と、人事担当者500名の計1500名。ただし、会社員には、人事担当、取締役相当、代表取締役・社長相当、その他管理職、管理職ではないが管理職相当が除外されている。

 同社によると、2018年に「働き方改革関連法」が公布され、労働基準法の改正により「時間外労働の上限規制」(時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間)が2019年4月より施行。ビジネスパーソンの興味・関心を高く集めているという。2020年4月には、大企業・中小企業問わず残業時間に罰則付きの上限が規定され、2023年4月からは、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%に引き上げられた。

 さらに、2024年4月以降は、適用が猶予・除外されていた「建設」や「自動車運転」などの事業・業務も対象となる。これにより、発生が懸念される問題が「2024年問題」と表現され、改めて注目が高まっているという。そこで、「残業」の実態を明らかにするための調査を実施することになった。

 企業に対し、「残業削減に対する課題感」(単一回答、企業 n=500)を確認したところ、全体の70.4%が残業削減に課題感をもっていると回答。業種別では、上位から「メーカー(74.8%)」「IT・通信(72.4%)」「運輸・物流(69.7%)」となっている。

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 次いで、「直近1年間の残業時間削減対策の有無」(単一回答、企業 n=500)を確認すると、「取っている」と回答した企業は全体で70.2%だった。業種別では、「運輸・物流」が最も高い割合(78.8%)を示す結果となっている。

 
 

 これについて同社では、残業時間の上限規制の適用猶予を受けている「運輸・物流」は、2024年4月から適用が開始することから、特に喫緊の課題として、企業割合が高まったと推察する。

 さらに、「今後残業削減のための対策をとる予定がある及び検討している」と回答した企業も計78.0%となり、対策内容は上位から「労働時間の可視化(63.4%)」「業務効率化のためのツール導入(50.7%)」「人員の確保(49.3%)」と続いた。

 時間外労働の割増賃金率の引き上げが始まった2023年4月を起点に、「2023年4月以前と以降の平均残業時間」(数値回答、個人 n=885)を調べると、「変わらないと思う」の回答が最も多く68.6%。「減ったと思う」の回答は、計18.7%にとどまっている。具体的な残業時間では、2023年4月以前の平均は「14.8時間」、4月以降が「14.5時間」と差分は-0.3時間だった。最も残業時間が減ったのは「メーカー」で-1.1時間。一方、「運輸・物流」は-0.2時間となっている。

 
 

 次に、「残業をする理由」(単一回答、個人 n=659)を調べると、「業務が終わらないため」が75.3%で、最も多い結果となった。20代〜60代のどの年代においても、7割以上が同様の回答をしている。

 また、年代別回答からは、20代の「残業代を得るため」の回答割合は約半数(47.8%)となり、全体平均より約15ポイント高い結果となった。

 
 

 出勤前や退勤後、休日など、申告を行わない・申告よりも長く働く「隠れ残業」について、「隠れ残業をする理由」(複数回答、個人 n=263)も調べた。

 すると、「隠れ残業」を行ったことがある個人は26.3%で、その理由については「就業規定の残業時間に業務量があっていないため」が41.4%で最多となった。年代ごとに確認すると、20代は「隠れ残業が職場の文化として習慣化しているため」、30代は「隠れ残業を評価する風潮があるため」、40代は「残業の申請が面倒なため」が全体平均より10ポイント以上高い結果となっている。

 
 

 残業時間の多さについて、「残業時間が多いと転職を考えるか」(単一回答、個人 n=1,000)を調べると、「考える」と回答した人は55.5%(転職を考える18.9%、やや転職を考える36.6%の合計)となった。

 
 

 特に、20代・30代で顕著となっており、20代は計62.0%、30代は計65.0%と、いずれも60%を超えている。

 
 

 転職を考える理由としては、「ワークライフバランスが崩れるから」「体に負担が多いから」「残業がある会社は人手が足りない。人手が足りない会社は財政が良くないから」など、ワークライフバランスや自身のヘルスケア、会社へのロイヤリティ観点の声が挙がっている。

 転職を考える残業時間について、「残業時間がどれくらいだと転職を考えるか」(単一回答、個人 n=1,000)をきくと、「40〜60時間未満」が12.9%で一番多く、次いで「10〜20時間未満」の11.5%となった。

 なお、平均残業時間は「14.5時間」だが、平均的な残業時間であっても11.5%の人が転職を検討していることになる。

 一方で、「残業がない」も18.0%と高い割合となった。残業代を賃金の一部と考える人も多いことから(残業をする理由、n=659、33.4%)、まったく得られないことへの懸念もある。

 同社によると、転職希望者とキャリアカウンセリングを行うなかでも、残業を減らすために転職に踏み切るケースが増えているという。

 その場合も、視野を広く保つことが重要だとしており、自分の強みや就きたい仕事は何かを理解し、志望業界や企業のニーズを知る(社会を知る)ことで、現在の市場価値や市場価値を高めるために何が必要かを知ることにつながると説明している。

 
 

プレスリリース
転職サービス「doda(デューダ)」

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